硬いものの食べすぎに注意

愛媛県松山市の歯医者、石岡歯科医院の院長 石岡 亮です。

今回は、「硬いものの食べすぎに注意」についてお話をしていきます。

【目次】

1.硬い食べ物=歯に良い?
2.過度な咀嚼が歯に与える影響
3.歯や歯ぐきが弱くなる中年期の特徴
4.硬いものを食べるときの注意点
5.歯を守るためにできること
6.まとめ

 

1.硬い食べ物=歯に良い

「硬いものをしっかり噛むことは、あごや歯を丈夫にする」とよく言われます。
たしかに、適度に噛むことは唾液の分泌を促し、脳の活性化や消化を助けるなど、多くの健康効果があります。

しかし一方で、「硬い食べ物を食べすぎる」ことが歯や顎関節に過度な負担をかけ、歯を痛める原因になることもあります。
特に中年以降は、歯や歯ぐき、噛み合わせのバランスが変化してくるため、無理な咀嚼はリスクを高めてしまいます。

 

2.過度な咀嚼が歯に与える影響

硬い食べ物を頻繁に噛むことで、歯や歯ぐきには次のような影響が出ることがあります。
• 歯のヒビや欠け
硬いせんべい、ナッツ、氷などを噛んだ際に、歯のエナメル質に小さな亀裂が入ることがあります。
放置すると、しみたり痛んだり、最悪の場合歯が割れて抜歯が必要になることもあります。
• 歯のすり減り
過剰な力で咀嚼を続けると、歯の咬耗(すり減り)が進み、噛み合わせが変化します。
これにより顎関節への負担や肩こり、頭痛を引き起こすこともあります。
• 歯根膜や顎関節への負担
強く噛みしめることで、歯を支える歯根膜や顎の関節に炎症が起こる場合があります。
「噛むと違和感がある」「口を開けると顎が痛い」といった症状が出たら注意が必要です。

 

3.歯や歯ぐきが弱くなる中年期の特徴

40代以降になると、歯や歯ぐきの状態にも少しずつ変化が現れます。
• 歯ぐきが下がり、歯の根元が露出してくる
• 加齢や歯ぎしりによりエナメル質が薄くなる
• 骨密度の低下で歯を支える力が弱まる
• 唾液の分泌量が減り、口の中が乾きやすくなる

これらの変化によって、若い頃と同じように硬いものを噛むと、歯がダメージを受けやすくなります。
「昔は平気だったのに、最近は噛むと痛い」と感じたら、それは歯のSOSサインかもしれません。

 

4.硬いものを食べるときの注意点

硬い食べ物を完全に避ける必要はありません。
ただし、次のポイントを意識することで、歯への負担を大きく減らすことができます。
• 一度に強く噛まない
硬い食べ物は一口を小さめにして、ゆっくり噛むようにしましょう。
• 左右両方でバランスよく噛む
片側だけで噛む癖があると、特定の歯や顎関節に負担が集中します。
• 加熱や調理で硬さを調整する
野菜やナッツなどは軽く火を通したり、水に浸すことで硬さを和らげることができます。
• 歯の状態を定期的にチェックする
詰め物・被せ物・歯根の状態を確認することで、思わぬトラブルを防げます。

 

5.歯を守るためにできること

中年以降の歯を守るためには、「噛む力のバランス」と「日々のケア」の両方が大切です。
• 強い咬みしめや歯ぎしりの癖を見直す
就寝中の歯ぎしりがある場合は、マウスピースの使用を検討しましょう。
• 歯周病の早期発見・治療
歯ぐきが弱っていると、硬い食べ物で簡単に炎症が悪化します。定期的な歯科検診で早めに対処しましょう。
• バランスの良い食事を意識する
噛みごたえのある食材とやわらかい食材を組み合わせ、無理なく食べられる工夫をすることが大切です。

 

6.まとめ

「硬いものをしっかり噛むこと」は健康に良い面もありますが、年齢とともに歯や歯ぐきの状態は変化していきます。
特に中年以降は、強い咀嚼力がかえって歯を傷つけ、将来的に歯を失うリスクを高めることもあります。

歯を長く保つためには、「噛むことの質」を意識することが大切です。
硬さを控えめにし、左右でバランスよく噛み、定期的に歯科でチェックを受けることで、健康な歯を一生保つことができます。

当院では、噛み合わせや咬耗のチェック、歯ぎしり予防の相談も行っております。
「最近、硬いものを食べると歯が痛む」「歯がすり減ってきた気がする」という方は、ぜひ一度ご相談ください。