かみ合わせと知覚過敏の関係
愛媛県松山市の歯医者、石岡歯科医院の院長 石岡 亮です。
今回は、「かみ合わせと知覚過敏の関係」についてお話をしていきます。
【目次】
1.知覚過敏とはどんな症状?
2.知覚過敏が起こる一般的な原因
3.実は多い「かみ合わせ」が原因の知覚過敏
4.咬合圧が歯に与える影響
5.かみ合わせが乱れるとどの歯が敏感になる?
6.食いしばり・歯ぎしりと知覚過敏
7.「前歯がしみる」場合のかみ合わせとの関係
8.奥歯を失った人の知覚過敏:補綴治療の重要性
9.自分でできる予防法
10.歯科医院で行う治療法
11.まとめ
1.知覚過敏とはどんな症状?
知覚過敏とは、
・冷たい飲み物
・歯ブラシの毛先
・風
・甘いもの
こういった軽い刺激でも「キーン」「ズキッ」と歯がしみる症状です。
歯の表面のエナメル質が薄くなったり、歯ぐきが下がって根が露出したりすることで発生します。
日本人の約3割が経験している、とても身近な症状です。
2.知覚過敏が起こる一般的な原因
一般的には次のような原因が知られています。
・強いブラッシング
・歯ぎしり
・酸の摂りすぎ(酸蝕症)
・歯周病による歯ぐき退縮
・ホワイトニング後の一時的な症状
しかし実は、見落とされがちな重要な原因があります。
それが かみ合わせ(咬合)の問題 です。
3.実は多い「かみ合わせ」が原因の知覚過敏
かみ合わせが悪いと、特定の歯にだけ過度な力が加わり、歯の表面が少しずつ欠けたり、根元に力が集中してヒビのような状態が生じます。
これを アブフラクション(歯頸部欠損) と呼びます。
アブフラクションが起こると、エナメル質が削れ、内部の象牙質が露出し、知覚過敏が発生します。
つまり、ブラッシングや酸とは関係なく、噛む力だけで知覚過敏が起きる ことも珍しくありません。
4.咬合圧が歯に与える影響
人が噛むときの力は、想像以上に強力です。
奥歯では 体重の2~3倍(100kg以上) の力がかかることもあります。
噛み合わせがずれてしまうと、この強い力が
・歯の一部
・特定の歯1本
に集中してしまいます。
その結果、
・歯の根元が削れる
・歯が揺れる
・前歯が出てくる
・顎関節に負担がかかる
などの問題が連鎖的に起こります。
知覚過敏は、その最初のサインともいえる症状なのです。
5.かみ合わせが乱れるとどの歯が敏感になる?
よく見られる傾向は次の通りです。
・奥歯:根元が欠けやすく、冷たいものがしみる
・上の前歯:食いしばりで圧がかかり、先端が薄くなってしみる
・下の犬歯:横方向の力を受けやすく知覚過敏になりやすい
特に犬歯は咀嚼中の横の力(側方力)を受け止めるため、負担過大になりがちです。
6.食いしばり・歯ぎしりと知覚過敏
昼間の食いしばり、夜間の歯ぎしりは、かみ合わせトラブルの代表的な原因です。
症状の特徴として、
・起床時に歯がしみる
・奥歯の根元が削れている
・歯の先端がすり減っている
・舌や頬に咬み締めの跡がある
などがあります。
多くの患者さんが「しみる原因はブラシのしすぎ」と思っていますが、実際は 食いしばりの力が主原因 のケースも多いです。
7.「前歯がしみる」場合のかみ合わせとの関係
前歯の知覚過敏が続く場合、実は奥歯の問題が隠れていることがよくあります。
奥歯が虫歯・歯周病・欠損などで噛みしめられなくなると、体は前歯で噛む癖を作ります。
すると、前歯に過度な咬合圧が加わり、
・前歯の根元が削れる
・エナメル質が薄くなる
・歯が動いて歯ぐきが下がる
といった変化が進み、知覚過敏を引き起こします。
前歯がしみる患者さんに奥歯の噛み合わせ治療が必要なことは、歯科医として非常によくあるパターンです。
8.奥歯を失った人の知覚過敏:補綴治療の重要性
奥歯を失ったまま放置すると、
・咬合圧が前歯に集中
・犬歯が磨耗
・頬や舌を噛むようになる
・知覚過敏が増悪
といった問題が起こります。
そのため、
・ブリッジで奥歯を補う
・インプラントでしっかり噛める奥歯を再建する
ことは、単に噛めるようになるだけでなく、前歯の知覚過敏を防ぐためにも重要な治療となります。
「前歯がしみる→実は奥歯が原因」というケースは非常に多く、補綴治療は全体の咬合を守るために欠かせません。
9.自分でできる予防法
かみ合わせ起因の知覚過敏は、日常生活の工夫で軽減できます。
(1)食いしばりをやめる意識
上下の歯は、何もしていない時 1~2mm離れているのが正常 です。
「歯を合わせないこと」を意識するだけで負担が大きく軽減します。
(2)柔らかすぎる食事ばかりを避ける
噛む力が弱くなると、かみ合わせが不安定になります。
(3)正しい姿勢を心がける
猫背は下顎を後退させ、かみ合わせのズレを引き起こします。
(4)ナイトガードの使用
歯ぎしりが強い場合は、夜間にマウスピースを使うことで歯を守れます。
10.歯科医院で行う治療法
知覚過敏の程度や原因に応じて、以下のような治療を行います。
・知覚過敏抑制剤の塗布(硝酸カリウム・フッ化物)
・咬合調整:噛み合わせのバランスを整える
・レジン修復:欠けた歯頸部を補う
・ナイトガードの作製
・奥歯の補綴治療(ブリッジ・インプラント)
→前歯の負担を減らし、全体の咬合を安定させることが目的
知覚過敏は、単に「しみるだけの症状」ではなく、歯のSOSサインであることも多いため、原因を見極めた治療が重要です。
11.まとめ
知覚過敏は、
・ブラッシング
・酸
・歯周病
だけが原因ではありません。
実は、かみ合わせの問題が原因となる知覚過敏は非常に多い ということを知っていただきたいと思います。
特定の歯に咬合圧が集中すると、
・歯の根元が削れる
・エナメル質が薄くなる
・歯ぐきが下がる
といった変化が起こり、知覚過敏につながります。
さらに、奥歯の欠損や噛み合わせ不良があると、
・前歯に力が集中
・食いしばりが悪化
・知覚過敏が慢性化
することも珍しくありません。
知覚過敏は「治すことができる症状」です。
原因を正しく突き止めることで、改善し再発を防ぐことができます。
しみる症状が続く方は、ぜひ一度専門的な診査を受けてみてください。
当院では、咬合や生活習慣、歯周状態を総合的に評価し、最適な治療をご提案いたします。

